みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『ふがいない僕は空を見た』 窪 美澄

 

ふがいない僕は空を見た (新潮文庫)

ふがいない僕は空を見た (新潮文庫)

 

 おすすめ ★☆

 

内容紹介

高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが――。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R-18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。

 

斉藤くんと主婦とのマニアックなセックスが思わぬ展開になっていく。二人のプレイが世間にばれて大反響を呼ぶ。斉藤くんと斉藤くんを取り巻く人達(年上の主婦、彼女、友達、母親)で描かれている短編集。それぞれが抱えている複雑な環境の中で斉藤くんの不倫が大きく影響していく。各々の視点で斉藤くんの状況や心の変化が描かれている。斉藤くんは、ずーっと落ち込んでいる。まぁそりゃそうだ(笑)

一番面白かった話は「セイタカアワダチソウの空」。お友達の福田くんの話。一番重くて、辛い話だったが、とても前向きになれる話だった。期待してはいけない、将来を悲観する後ろ向きな生き方を変えてくれる存在に出会えるのはとても幸せな事だと思う。