おすすめ ★★★★☆
内容(「BOOK」データベースより)
地元を飛び出した娘と、残った娘。幼馴染みの二人の人生はもう交わることなどないと思っていた。あの事件が起こるまでは。チエミが母親を殺し、失踪してから半年。みずほの脳裏に浮かんだのはチエミと交わした幼い約束。彼女が逃げ続ける理由が明らかになるとき、全ての娘は救われる。著者の新たな代表作。
女同士の感情の全てが詰まってる。男性はこの本を読んでも理解できないかもしれないが、女心は複雑で単純なモノではないという事がわかると思う。
物語はチエミが母を殺し、家を飛び出す場面から始まる。そして第1章は親友のみずほがチエミを探す為にチエミの関係者の話を聞きまわる。みずほ本人も母親の確執に悩み、なぜ仲良し母娘のチエミが事件を起こしたのかと疑問を持ちながらどうしても自分が見つけたいと強く思い始める。地元の友達、同僚の話で女の嫉妬、優越感、憧れなど微妙な関係性が露見していく。このあたりで読むのに疲労感が感じてきた。文体が慣れないというのもあるが、話の進展が遅い上に、女の愚痴をひたすら聞く心理的疲労感。そして確信に近づいてきたところで第2章に続く。
この後はチエミの物語。ここからラストまで止まらなかった。
母と娘の関係とは本当に強くて脆い。チエミとみずほの母娘関係は極端と思われるが意外にどこにでもいる親子。私の母も二人の母親を2で割ったようなよくいる母かもしれないが、私を悩まされる存在である事は間違いない。