みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『阿修羅のごとく』 向田 邦子

 

阿修羅のごとく (文春文庫)

阿修羅のごとく (文春文庫)

 

 おすすめ ★☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

年老いた父に愛人がいた!四人の娘は対策に大わらわ。だが、彼女たちもそれぞれ問題を抱えていた。未亡人の長女は不倫中、次女は夫の浮気を疑い、三女は独身の寂しさに心がすさみ、四女はボクサーの卵と同棲、そして母は…肉親の愛憎を描き、家族のあり方を追求してきた著者の到達点ともいうべき力作。

 

未亡人の長女、平凡な主婦の次女、男気のない三女、男と同棲中の四女。父に愛人がいるという疑惑から四人が相談をしていくホームドラマ。でもさすが向田邦子。ただのホームドラマではない。それぞれが家族に打ち明けられない秘密を抱えながら、接していく人間ドラマがとても面白い。自由に生きていた四姉妹が愛人問題勃発から関わり合い、秘密を隠しながらお互いを妬んだり、探り合ったりしながらも家族の問題に向き合っていく。家族というのはこんなもの。家族だから打ち明けられない事は非常にある。まさに阿修羅です。