みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『復活の日』

 

復活の日

復活の日

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

おすすめ ★★★★☆

 

【感想】

1982年 秋 世界は死滅した。南極大陸に863名を残して...。から始まり、前半は死滅していく世界が描かれる。

偶然作られた細菌兵器(MM-88)を巡る各国の争い。搬送したヘリコプターがアルプスの山岳地帯で墜落。(色々、突っ込みたくなる展開)

気温上昇により爆発的に増殖する特性を持つウィルス。スピード感染で世界は大パニック。見えないウイルスは徐々に生態系を壊しはじめ、なすすべもなく、人類も次々に命を奪われていく。ウィルスだけではなく、絶望で自死をする人間も。。南極の各国基地に唯一ウィルスの脅威もなく生存する部隊が最期の人類の生き残りとして、希望を託し、大統領は南極基地の外出禁止、外からの侵入禁止命令。最後の大統領令です。

ウィルスの危機から逃れても、人間たちの争いが...。863名の中で女性は8名のみ。男性からの性暴行多発。。女性は生命を生む貴重な資源として、政府が性交渉管理。。女は産む機械って表現...ひどい。。新しい命に喜ぶ男性と身籠る女性たちの暗い表情。。このギャップ...居た堪れない。

そんな状況で新たな脅威が...。ワシントンで大地震が発生すると予知される。ちなみに主役の甘いマスク草刈正雄さんは日本の地震学者・吉住を演じてます。さてさて、南極ではざわつきが。。なぜなら、アメリカの自動報復装置が作動されたら、世界各地に核ミサイルが発射される。。恐ろしい!戦争はほんといい事ないわ。

装置発動を阻止するために決死隊として参加した吉住。。あともう少しのところで、大地震発生。。吉住‼︎あともう少しでスイッチーーというところで、発射。。あぁぁ。絶望的だわ。。吉住、失敗報告。無念。

 

「世界は二度死んだ」

 

ラスト15分がさらに怖いの。。世界に取り残された吉住はどこに向かうのか...。

 

あらゆる危機を乗り越えて、希望に向かう人間の力強さは感じた。。南極の風景が美しい。。草刈正雄さんの顔が甘い。。夏八木勲さんの英語が綺麗。。今の時代だったら世界滅亡を阻止できるだろうなぁと朝からツッコみどころ満載の昭和映画を見て、平和を願うのでした。

 

 

 

『ジョジョ・ラビット』

映画『ジョジョ・ラビット』公式サイト

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おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

10歳のジョジョは、青少年集団ヒトラーユーゲントの合宿参加する朝、空想上の友達”アドルフに、弱音を吐いてしまう。アドルフから「お前はひ弱で人気もない。だが、ナチスへの忠誠心はピカイチだ」と励まされる。
クレンツェンドルフ大尉や、教官のミス・ラームらの指導によるハードな戦闘訓練が始まる。ウサギを殺せと命令されたジョジョは、殺すことができず、〈ジョジョ・ラビット〉という不名誉なあだ名をつけられる。帰宅したジョジョは隠し扉を発見。恐る恐る開くと、中にはユダヤ人の少女・エルサが匿われていた。最大の敵が同じ屋根の下に! 

 

【感想】

10歳の少年の視点から描かれる第二次世界大戦。登場人物から戦争の悲劇がとてもストレートに心に投げかけてくる。

ナチス信者・ジョジョのヒトラーへの信奉と不信に揺れ動く葛藤から洗脳の根深さを考えさせられる。。戦争を夢見る子供を見守る母・ロージーの大きな愛、揺るぎない芯の強さ。凛とした母の素晴らしさから子育ての本質に気づかされる。エルサの理不尽さへの怒り、不安、緊張からユダヤ人の悲しみが伝わる。。クレンツェンドルフ大尉の優しさからはナチスの良心が見え、殺伐した中に光をもたらす。。最も悪として存在するジョジョの空想の友達・アドルフ。ジョジョにとってはヒーローであり、指針となる存在。心の誘導からナチス信者の思考が見える。。とにかく怖い。

ただ、、ジョジョが可愛い。心優しいジョジョには癒される。。ジョジョの親友・ヨーキーとの幼い友情が愛くるしく微笑ましい。。戦争を目の当たりにしたジョジョ。脳裏に描いていた戦争とは全く違うものだったろうなぁ。。心痛。。同世代の我が子にも重なり、序盤から涙が止まらなかった。

『ゴーストワールド』『真珠の耳飾りの少女』からファンだった母親役のスカーレットヨハンソンが魅力的!大満足。。大尉役のサム・ロックウェルも良かった。

月並みですが、、戦争の悲劇は繰り返してはいけないとただただ思います。

『楽園』鑑賞

映画『楽園』公式サイト

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おすすめ ★★★☆☆

 

【感想】

『悪人』、『怒り』を一緒に鑑賞したお友達から『楽園』を観に行こうと誘われ、急いで読んだ吉田修一さんの『犯罪小説集』(感想はコチラ→)『犯罪小説集』 吉田 修一 - みみの無趣味な故に・・・


5つの短編のうち、「青田Y字路」と「万屋善次郎」が映画化されたそうです。。善次郎が楽しみ(*˘︶˘*).。.:*♬

 

12年前に起きた少女失踪事件の被害者の友達・紡役の杉咲花。生き残った方の少女として罪悪感を抱えながら生きる女性。。
母と2人で日本で生きる中国人・豪士役・綾野剛。少女失踪事件の犯人の疑惑を持たれ、追い詰められていく。。
集落で愛犬と暮らす養蜂家・善次郎役の佐藤浩市。養蜂で村おこし事業を巡り、村八分にされてしまい、こちらも追い込まれてく。。

閉鎖的な村で行き場を失い、孤独に生き、絶望をし、一線を超えてしまう人間。。少女失踪事件の被害者の祖父・柄本明が村人たちと豪士を犯人狩りをし、追い込む時の心理がただただ悲しい。。救われたい、納得したい。。背負う物が大き過ぎてやるせない。。
村八分をされる善次郎。。誰も信じることができず、愛犬と亡き妻との思い出だけを胸に生きる悲しき養蜂家。。原作でも泣いてしまった愛犬の健気さ。。映画でもウルウルでした(´இωஇ`)周りからも泣く音が聞こえ、絶妙な効果音。。ただ...豪士よりも善次郎の追い込まれ、精神崩壊していく心理状態があっさりしてて、とっても残念。。善次郎のちょっとした恋模様(村の未亡人との混浴シーンって必要?)はいらないかなぁ。。自死のシーンがあるんだけど、、怖くて長くて、、悲鳴をあげそうになった。。友達が隣で((((;゚;Д;゚;))))ヒィ--ヤメテ--と悶絶状態のわたしの事を笑っていたようだ。。いやほんと、痛いよ。。鎌で腹切り。。長いよこのシーン。。きゃ━(;´༎ຶД༎ຶ`)━っっ!!!


という事で、、『悪人』や『怒り』に比べると(監督さんが違いますよ)あまり入り込めなかった感はありました。。終盤はやや退屈にもなってしまった。。役者陣(主役も脇役も)の緊迫感は凄かった。。特に原作では重要人物ではなかった紡を演じた杉咲花ちゃんの罪悪感や憤りは良かったです。。吉田修一作品シリーズ、、終始陰湿。。ここは病みつきになるところです笑。。

『蜜蜂と遠雷』鑑賞

映画『蜜蜂と遠雷』公式サイト

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おすすめ ★★★★☆

 

【感想】

2016年マイベスト1だった『蜜蜂と遠雷』を3年ぶりに再読。。スピンオフ『祝祭と予感』読了。(感想はコチラ→『祝祭と予感』 恩田 陸 - みみの無趣味な故に・・・)胸の高鳴りを抑えることもできないまま、映画鑑賞してきました!ややネタバレしてます。

 

天才少女・栄伝亜夜を演じた松岡茉優ちゃん。。師である母を幼い頃に亡くし、音楽を閉じ込めてしまった少女が、、コンクールに出場し、天才たち(実は..みんな亜夜に影響された人たち)に徐々に影響されていくも葛藤し続け、復活を遂げるまで。。儚げな感じや、心ここにあらず感が良かったなぁ。。

 

塵くんと亜夜の連弾シーン。
月明かりの中で共鳴するふたりの演奏に突き抜けた喜びが走った。。拍手を捧げて、、このまま終わってもいいわ!と立ち上がり帰りそうになった。。このシーンだけでも満足。。
本選。。マサルは優雅でかっこいい。塵くんの嬉々として弾ける存在感に圧倒。。亜夜の演奏シーンはわたしまで激しい緊張感で手が震え、体が熱くなる。。素晴らしい。。素晴らし過ぎて、心が絶句する。。
エンドロール。。緊張したまま見つめていると...原作 恩田陸「蜜蜂と遠雷」という文字が3Dのように浮かび上がったように見え、、ダムの決壊のように涙が溢れて、体の毛穴からも水分が溢れて、、寒くなって鳥肌が立ち、、ちょっと風邪ひきそうだーーと肩を震わせて、泣いてしまった。。熱くなったり、寒くなったり、どうかしてしまうほど、最後の本選の3人の名演技と原作の感動が重なり、今もまだ、余韻に浸り、、音楽が満ち満ち溢れてます。。映画は映画として楽しめた。。映画のおかげで原作を再読できたこと。改めて原作が素晴らしいことに喜びを感じる。。名場面を読み返し、ピアノ全集を聴いてます。。

ここから、ややネタバレしてます。

ただ...ひとつだけ。。残念なのが、お気に入りの海のシーン。。亜夜とマサルと塵くんの3人でよかった。原作で奏ちゃん(亜夜の復活を誰よりも信じ続けた友達)が亜夜たちの写真をこっそり撮る所が好きだったんだけど、、映画では奏ちゃんが登場しないの。。奏ちゃんに投影しながら読んでいたので、登場してほしかった。。そこがものすごく残念で悔やまれる。。せめていないのならば、、海のシーンは3人でいてほしかったなぁ。。ブルゾちえみの存在(高島明石の取材をする雅美役)が...受け入れられなかった唯一のシーンでした。。(唯一ではないよ。。でもここだけはいてほしくなかった)

『湯を沸かすほどの熱い愛』

 

湯を沸かすほどの熱い愛
 

【内容紹介】

銭湯・幸の湯を営む幸野家。しかし、父が1年前にふらっと出奔し銭湯は休業状態。母・双葉は、持ち前の明るさと強さで、パートをしながら娘を育てていた。そんなある日突然、余命2ヶ月という宣告を受ける。その日から彼女は「絶対にやっておくべきこと」を決め、実行していく。

 

【感想】

数ヶ月まえに原作を読み、大号泣した記憶がまた蘇る(『湯を沸かすほどの熱い愛』 中野 量太 - みみの無趣味な故に・・・)。。噂で聞いてた通り...双葉役の宮沢りえちゃんの強さと命が尽きるまでの儚さや美しさには感動した。。冷静に映像を見て、ふと思った。。ややひっかかる点が。。原作を読んでる時は母の熱い熱い熱すぎる愛情に、ひっかかりがスルーされていたのか。。あの時も少しだけひっかかっていたけど、小さなひっかかりとしてスルーしていたのか。。鮎子(家出した夫の隠し子)がママに会いたくて以前暮らしていたアパートの部屋の前でママの事をずっと待っているシーン。。お漏らしをしてしまう鮎子をそっと抱きしめる双葉。。一緒に帰ろうと下着を脱がせる。。さて...ここからがひっかかり→下着の置き場(鮎子の元の家のドアノブ)。。ひっかかるわぁ。。なぜひっかけた?。。持って帰らない理由は?なんだ?とか。。

衝撃のラストシーンは...大きなひっかかり。原作を読んだ時も号泣しながら、「ん?」ってなった。。ネタバレします。

銭湯で双葉のお葬式。親族やごく身近な人だけになり、何かいけない事をしている雰囲気。。グラグラ煮えたぎる釜。。燃える赤い火。。家族みんなで気持ちよさそうに湯に浸かる。。モクモク赤い煙が天に昇っていく。。「湯を沸かすほどの熱い愛」のタイトルドーーーン。。なるほど。。衝撃的すぎる。。

 

役者さんたち、とっても良かったというまとめ。。オダジョーさん(夫役)の情けなさもいい感じ。。杉咲花ちゃん(安澄役)の不安定な気弱さが苦みがあったなぁ。。宮沢りえ、美しい。。太宰妻も気になるなぁ。。

『僕のワンダフルライフ』

 

 

【内容紹介】

ゴールデンレトリバーの子犬ベイリーは、少年イーサンに命を救われてからいつも一緒に過ごすようになり、彼と強い絆を育む。やがて青年に成長したイーサンは大学入学で故郷を離れ、ベイリーは年老いて死を迎えるはずだった。だが、ベイリーはイーサンに会いたい一心で何度も姿を変えて生まれ変わり……。

【感想】

金曜ロードショーで観ました。
動物映画はボロ泣きするから、ほんとは苦手なの。。やっぱりボロボロ泣いちゃう(;_;)。。ベイリー🐶の転生の物語。。ベイリーの飼い主への一途さ、無償の愛。。楽しく微笑ましい日々の先の、最期の瞬間。。やめてくれ〜T^T。。ココア(わたしの愛犬)とのお別れを考えるといつも涙が出ちゃう。。その度にココアに謝る。。まだ元気なのに不吉な想像してゴメン。。人間には人間生活があり、ワンコの大好きだよ!の気持ちとの温度差に居たたまれなくなる。。ベイリー目線で見る世界と想いが切なくて愛おしい。。人間と違って寿命が短いけど、ワンコの濃縮された人生(犬生)に寂しさを与えないようにしてあげようと思いました。

 

現在公開中の『僕のワンダフルジャーニー』は更に泣ける映画だそうです。。ムリだぁ。。ベイリーでもボロ泣きなのにT^T。。動物映画は心突き刺さり度数高めで絶対泣かせられるので...やっぱり苦手だぁ(≧w≦;)

『戦慄の絆』

 

戦慄の絆 <デジタルリマスター版> [DVD]

戦慄の絆 <デジタルリマスター版> [DVD]

 

おすすめ ★★★★☆

 

【感想】

ネット開通工事により、映画チャンネルが増えたので、久しぶりに映画鑑賞。。朝からサイコスリラーを観ちゃった。

野心家で自信家で策略家の兄・エリオット。。繊細で真面目で研究熱心な弟・ビバリー。。幼い頃から一心同体に育ち、産婦人科医を開業する。。全く正反対の性格を持ちながら、すべてを共有し、許しあってきた兄弟。。2人で栄光を掴み、お互い必要不可欠な存在に。。しかし、クレアという女性患者との出会い...ビバリーのクレアへの愛情が全てを共有する兄弟の間に初めて秘密が生まれ、均衡を保っていた兄弟の精神を蝕みはじめる。。ビバリーの兄離れから、、精神崩壊。。薬に頼り、狂い始める。。一方兄も、弟の異変に徐々に精神崩壊の道へ。。

 

怖かった。。朝からこんな怖い映画を流していいのかしら。。産婦人科医師が崩壊していくというだけで、、女性としてただただ怖い。。崩壊医師の診察、手術シーンだけでも恐怖炸裂。。赤色の手術衣。。震える手。。器具の冷たさと鋭さ。。患者の酸素マスクを奪うほどの酸欠医師。。手術放棄。。どれも怖すぎる。。

 

効果音と映像は恐怖を煽る演出として時代を感じるが、、双子の医師を演じるジェレミー・アイアンズ。この人の演技が底の見えない闇に包まれてて怖すぎる。。同一人物とは思えない演技力で双子を演じ分けている。。2人が崩壊してから見分けのつかなくなる狂気には心ざわつき、震える。。ラストの誕生日。。まさに戦慄が走る。。心臓を鷲掴みされたかのような痛みが走るわ。。朝から刺激的。。落ち着かないと。

完璧な双子。。完璧って恐怖に繋がりやすいのかなぁ。。兄のエリオットの方が完璧主義だけど、精神崩壊した兄の心の弱さは弟よりも激しく崩れてた。。