みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『真夜中の五分前』 本多 孝好

 

真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐A〉 (新潮文庫)

真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐A〉 (新潮文庫)

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

少し遅れた時計を好んで使った恋人が、六年前に死んだ。いま、小さな広告代理店に勤める僕の時間は、あの日からずっと五分ズレたままだ。そんな僕の前に突然現れた、一卵性双生児のかすみ。彼女が秘密の恋を打ち明けたとき、現実は思いもよらぬ世界へ僕を押しやった。洒落た語りも魅力的な、side‐Aから始まる新感覚の恋愛小説。

 

真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐B〉 (新潮文庫)

真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐B〉 (新潮文庫)

 

おすすめ ★★☆☆☆

【内容紹介】

かすみとの偶然の出会いは、過去の恋に縛られていた僕の人生を大きく動かした。あれから二年、転職した僕の前にひとりの男が訪ねてきた。そして、かすみとその妹ゆかりを思い出さずにはおかぬこの男が、信じられない話を切り出した。物語は、驚愕のエンディングが待つside-Bへ。今日と明日をつなぐ五分間の隙間を破り、魂震わす極限の愛が生まれる。(必ずside-Aから読んでください)

 

【感想】

虚無感を漂わせる無感情な僕の、、恋人を事故で無くした悲しみがあるのかないのかもよくわからない淡泊な感情を読むのに億劫を感じたけど、、sideBを期待しながら、何とかsideAを読みました。。ε-(;ーωーA フゥ…

さてsideBへ。。あれ?sideAの続き。。?

え?思ってたのと違う。。視点が変わるのかと思ったら、また「僕」が語り出してる。sideAのその後を。勘違いしてしまったけど、仕方ない。何とか読もう。。絶望的ではない喪失を抱える主人公と一卵性双生児の謎。。どちらに焦点を向ければ良いのかわからない話。。僕は何を失って、何のために休んで、何を確かめたくて、何に辿り着きたいの?。。。実はそこまで興味を持ってるわけではない。。最後までどうしても好きになれない僕のこと。。なるほど、、この僕、、ワタナベくん(『ノルウェイの森』)に似てる。。話も。。恋人の死。喪失感。虚無感。再生の旅。。『ノルウェイの森』は何度か読み、何度もワタナベくんに拒否反応を示してた。。その感覚にすごく似てる。。

 

 

 

 

 

 

『ジュラシック・ワールド炎の王国』

映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』公式サイト 大ヒット上映中!

 

おすすめ ★★★★☆

ストーリー ★★★☆☆ 

 

ジュラシックパークから今作まで、全て劇場で鑑賞。

ジュラシック・パークの第一作を鑑賞した時は感動しました。恐竜のリアルな世界。迫力満点な映像。恐竜との奇跡の出会いから恐怖の幕開け。。とても面白く、楽しめた。

今作まで映像美と恐竜の進化が止まらない。ワールドではパークでの最強の敵・ラプトルを飼いならす。。と驚きの内容だけど、懐っこいブルーがとても可愛い。。恐竜だけど、愛らしい。

 

小学5年生の息子と行ってきました。

モーニングショーで貸切状態。。年配の方がちらほら最後列にいる程度。。だからか、すごく怖がってた。。2人だけの恐竜パニック映画を満喫。。ハプニングが起きるたびに「どうしよう?」と頭抱えてオロオロしてた。。わたしの手を握り、、「こ、こ、怖い〜(||゚Д゚)ヒィィィ!」すごく楽しんでる。。笑。

前回同様、海の恐竜、最強ね。迫力満点。。
恐竜🦕💦🦖💦より人間が怖い。。
驚愕のラスト。。(;゚ Д゚) …エッ?...放置...?...
やっぱり怖い(||゚Д゚)ヒィィィ!

息子の感想は怖がっていたけど、細かく観てる。出てきた恐竜の種類や皮膚感。ツノの威力。爪の形、生態を細かく説明してくれました。内容は「のび太の恐竜2006」に似ているようです(あらすじを聞いたら、恐竜と人間の感動ドラマ。恐竜ハンターが...なんたらかんたら...のび太の恐竜ピー助を...なんたらかんたら。。なるほど。のび太オーウェンだね。。)
今回は冒頭からハプニングが起きて、今までと違う構成に意表を突かれたそうで、恐怖を引きずったまま、途中まで心臓のドキドキが止まらなかったとか。。トイレのタイミングが難しかったくらい楽しんだようで、大満足❣️

(わたしはロックウッド家のお世話係さんの存在が気になってました🗝の人物とはどうなんだろ?)

 

次回作もあるのだろうと期待をしつつ、その時も息子が一緒に観に行ってくれるといいなぁと思いました。

『女ともだち』 村山 由佳 坂井 希久子 千早 茜 大崎 梢 額賀 澪 阿川 佐和子 嶋津 輝 森 絵都

 

女ともだち (文春文庫)

女ともだち (文春文庫)

 

おすすめ ★★★★☆

 

【感想】

「COPY」村山 由佳

人気者・志緒里に似ていく下級生。志緒里、不安になる。そばで見ている僕は志緒里の味方でいたい。

( ˘ω˘ ).。oO(怖い。。志緒里を大好きな人達、、単に怖い。。)

 


「ト・モ・ダ・チ」坂井 希久子

パート内でのアレコレ。。

( ˘ω˘ ).。oO(人としての暗黙のルールを破っても、わからない人。。存在が怖い。。)

 

「卵の殻」千早 茜

中学時代からの仲良し4人組。何でも話す秘密のない関係。。30代となりそれぞれの歩む道は違くても変わらない関係を維持するには...。

( ˘ω˘ ).。oO(卵の殻のように些細な事でヒビが入る女ともだち。。関係を守りたい気持ちから秘密が生じる。。複雑)

 

「水底の星」 大崎 梢

小学生のスイミングスクールの仲間たち。競争心から亀裂が。。

( ˘ω˘ ).。oO(女は2歳から女として生きてる。。小学生ともなると、人生を狂わすこともできる。。とは思いたくないんだけど...。)


「こっちを向いて」額賀 澪

取引先の担当女子社員が転職。。仕事上の付き合いからお友達として新たな関係を築いていく事はできるのか...?

( ˘ω˘ ).。oO(この話はとても共感できた。。友達作りには相手への気遣い、距離感、行動力が必要。。学生の頃と感覚は変わらなくても、年を重ねる事によりパワーが必要となる。)


ブータンの歌」阿川 佐和子

伯父のリハビリでバッタリ会った見覚えのない女性。中学の時にクラスでからかわれていた同級生。丹野朋子。アダ名はブータン。突然の再会から、彼女と親しくなっていく...。

阿川佐和子さんのお話から~

女ともだちの移ろい。。相手が自分と同様の苦しみを抱えていると知ると親しみが湧き、距離が縮まる。だからかもしれない。状況が一変し、、(中略)、、共通の敵を失うと、たちまち冷めてしまう。

( ˘ω˘ ).。oO(境遇、環境が似てるからこそ、共感して仲良くなるけど、そこからの歪みも生じる。全く違った環境の友達でも仲良くなれると思ってる)


「ラインのふたり」嶋津 輝

LINEではなく、工場のラインで働くふたり。。同じライン上で知り合い、気が合うふたり。。若い女性社員の事を言い合うふたり。。

( ˘ω˘ ).。oO(話が地味で暗いけど、ふたりの友情が明るかった)


「獣の夜」 森 絵都

妻・美也の誕生日サプライズパーティーを大学の友人たちと企画した夫・泰介。。パーティー会場に連れていく任務を引き受けた紗弓。。美也の気まぐれでなぜかジビエ・フェスタへ。。鹿、猪、穴熊、雉、、肉食化するふたり。。鎌倉野菜店で待ちわびてる夫と旧友たち。。ふたりはいつしか、サプライズ返しをすることに...。

( ˘ω˘ ).。oO(この話が一番好き。。人はそうそう変わらないし、別に変わらなくていい。。そのまま生きていけばいいし、それしかできない。。本質を見て見ぬフリをしてくれる友達。。夫、、ダメ過ぎてサプライズ企画ができる能力は持ち合わせていない事にも笑える)

 


嫉妬が絡むリアリティのあるお話が多いので、正直疲れました。でも読み進めると、最後の森絵都さんのお話でじんわりと女の友情、いいなぁと心から思わせてくれました。

『乱暴と待機』 本谷 有希子

 

乱暴と待機 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

乱暴と待機 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

 

おすすめ ★★★☆☆

 

【内容紹介】

二段ベッドが置かれた、陰気な借家に同居する“妹”こと奈々瀬と“兄”英則。奈々瀬は家にこもり「あの日」から笑顔を見せなくなった“兄”を喜ばせるため日々「出し物」のネタを考えながら、英則からこの世で最も残酷な復讐をされる日を待ち続けている。一方、英則はそんな“妹”を屋根裏に潜り込んでは覗く、という行為を繰り返していた。そこへ英則の同僚・番上が訪れ…。


【感想】

複雑な読後感で、、感想も特に出ない。。というのは乱暴過ぎるので、少し感想。。

覗かれる女と覗く男。。意図的に覗かせてる女・奈々瀬。天井裏から奈々瀬を監視する英則。歪んだ一室に訪れる英則の同僚・番上と恋人のあずさ。。独特な雰囲気で異質で、、どの方もずば抜けた性質(英則と奈々瀬の受容と、番上とあずさの攻撃、まさにタイトル通り)を持ち合わせた登場人物。。

想像を絶する受容型な奈々瀬。奈々瀬の行動心理のように相手に委ねながら、自分に都合の良い解釈で決断づけているところは、、極端ではあるが、少なからず、あるかもしれない。。一番理解不能なのは英則。番上のいい加減さもあずさの激昂型も普通に感じられてしまうほど、、英則が意味不明。。

異様な一室で巻き起こる不思議な物語である。。

『女子漂流』 中村うさぎ 三浦しをん

 

おすすめ ★★★☆☆

 

【感想】

女の業を体現し続ける作家・中村うさぎと女戦線からの離脱を切に願う"隠遁女子"作家・三浦しをん。歩んだ道が真逆の二人が行き着く場所は。。

なんとも過激で本当にないしょにした方がいいのでは?と思うほど赤裸々ガールズトークでした。。中村うさぎさんの壮絶な人生を考えると、大したことはないのだろうけど、、ストレートな物言いに苦笑い連発。。ほんのり気遣いを見せるしをんさんがとても可愛らしい。。
相反する二人の女子の様々な価値観。。女子校の世界、恋愛から結婚、性について、日常、生きる道。。偏りがかなり濃く滲み出ているけど、共感するところもあり。。女子の人生の選択肢の多さと捨てた選択肢の復讐など、、とてもわかる。。男性についての話も、、男性に優しくて厳しい女子たち。。笑。男性が読んだら、、沈んで浮かんで来なさそう。。
会話に出てくるワードもなかなか面白くて辛辣。。女が作ったカツアゲシステム(専業主婦)。。隠遁力(しをんさんの理想郷?)。。女子校の中の連絡線の通わない島々での得体の知れない鳥一派(凄くおとなしい子たちの集まり)

女子トークならではの話の広がりと創作力。。女子ってめんどくさいけど、面白い生き物なのです。

『名画は嘘をつく』 木村 泰司

 

名画は嘘をつく (ビジュアルだいわ文庫)

名画は嘘をつく (ビジュアルだいわ文庫)

 

おすすめ ★★★★☆

 

【感想】

タイトル、モデル、景観、王室、設定、見栄、画家、天界、見方、ジャンル。。名画の様々な嘘。。

《タイトルの嘘》ムンク「叫び」叫んでるんじゃなくて、叫びから身を守ってるんだって。。夕暮れ時の死後の世界へ繋がる時刻(逢魔の時)の自然を貫く叫びという幻影。。これは驚き。

《モデルの嘘》音楽室に飾られてるバーバラ・クラフトの「モーツァルト肖像画」は死後に描かれたモーツァルト。。想像で描かれたそう。。画家として素人だったヨーゼフ・ランゲの未完のモーツァルトモーツァルト妻が「最も夫に似ている絵」と評したそうです。

《景観の嘘》現実の風景にありえない背景や建物が描かれたり、見た事もない風景を想像だけで描いたりと現実の風景よりも美しく描かれていくのも画家たちの美の理想の高さ故なのでしょうか?

ゴッホの「アルルの部屋」が好きです。写実的ではなく感情的に描いた作品。自分の感情を強烈な色彩で自由に表現するゴッホに惹かれます。

《王室の嘘》王室の命がけの生き方にダークファンタジーのよう。。肖像画へのわがままな注文。。加工はいつの時代でもあるんだなぁ。。笑。

《設定の嘘》銃殺、処刑、社会的事件。。怖すぎ。。

《見栄の嘘》国民の憎悪を背負うマリーアントワネットのイメージアップで描かれた「本を手にしたマリー・アントワネット」。。本好きアピール。。先日読んだ漫画『バーナード嬢曰く。』(読書家のフリに力を注ぐ女子の話)を思い出す。

《画家の嘘》温厚なピサロの過激な一面。無政府主義者ピサロの反体制的な絵。。一見穏やかな風景画だけど裏では込み上げる怒りが隠されてる。。

《天界の嘘》レンブランド・ファン・レイン「バテシバ」は観てると切ない。。水浴中に王に見初められた人妻バテシバは強引に関係を持たれ、夫を戦地で戦死させられる。水浴中に王の手紙を読み戸惑うバテシバの表情を描いた作品。見初められた瞬間と王の手紙の二つのエピソードを一枚の絵に描き、深い精神性を表現したそうです。素晴らしい。

《見方の嘘》フェルメールが唯一描いたメイドの絵「牛乳を注ぐ女」

当時のメイドは男主人を惑わす性的な存在として描かれることが多い中、忠実なメイドを称賛しているかのように映す作品。。素敵。

《ジャンルの嘘》18世紀のイタリア版寅さん。。「メズタン」イタリア喜劇のキャラの一人。まさかイタリアに車寅次郎がいたとは笑。


一枚の絵に込められた画家達の思惑、皮肉、メッセージ🎨。。鑑賞者の絵画の読み取り方でジャンルすら変わってしまう不思議な美術の世界。。絵画鑑賞、これからも楽しみ。。🖼🎶

 

 

 

『ミルク・アンド・ハニー』 村山 由佳

 

ミルク・アンド・ハニー

ミルク・アンド・ハニー

 

 おすすめ ★★★☆

 

【内容紹介】


脚本家・高遠奈津。創作の鬼に導かれるように夫・省吾との穏やかな暮らしを捨て、いくつかの恋を経て、今は恋人・大林一也と暮らしている。しかし彼もまた、奈津の心と躯を寂しくさせる男でしかなかった。元恋人の志澤一狼太や岩井良介との再びの逢瀬を皮切りに、性の深淵へ次々に分け入ってゆく彼女が、自由と孤独のその果てに見いだしたものは……。

 

【感想】

『ダブル・ファンタジー』の続編。。いや延長戦?かなぁ?
奈津がパワーアップしてる。。前作の最後の恋人・大林との結婚生活に頭が混乱しちゃう。。元夫より更なるダメっぷり男。。苦行としか言いようがない。。相変わらず、性に奔放な奈津の男性を求めていく旅。。愛人とのメールのやり取りを読んでて疲れ果ててしまうわ。。休み休み読みました。。しんどい。。奈津の救われる所は周囲の女性たちに軌道修正してもらえることかなぁ。。煽られる所もあるけど。。
お友達の琴美さんがいて良かった。。寂しさを他の男性で埋めていたが我慢をすることを覚えた奈津への琴美さんの言葉。。ちと笑った。。
「それがね、普通っていうか、ほんとなんだよ」

 

2作続けて、奈津のエネルギッシュな性愛を読み続けていたせいか、、「普通」がよくわからない錯覚に陥りそうになりました。。ヘトヘト。。村山さん(奈津は村山さんの顔しか浮かばない)、、すごいわ。