みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『エスカルゴ兄弟』 津原 泰水

 

エスカルゴ兄弟

エスカルゴ兄弟

 

おすすめ ★★★★☆

【感想】

出版社に勤める柳楽尚登は突然、社長から問題を抱えた飲食店に出向される。しかも料理人として。。立ち飲み屋だったお店を本物のエスカルゴが味わえるフランス料理店に変えるという無謀な計画をする店主兼写真家兼ぐるぐる渦巻き愛好家の雨野秋彦。秋彦の妹・梓や看板娘・剛さんと出会い、お店の経営、料理人として、腕を上げていく。エスカルゴ料理の試行錯誤を繰り返しながら、、いつしか尚登の中で、フランス料理店の存在、価値、やり甲斐が高まっていく。。という時に、またも突然出版社に呼び戻される尚登。。編集の道と料理の道のどちらを選ぶのか?

強烈に面白いのが、雨野兄妹。。
尚登が秋彦の本質を語っているくだりがすごく笑えた
「分かると分からないというふうに分かっていないと分かっていることを貴方は分かっていない。。分からず屋だ」笑笑。。とにかく、、分からず屋で個性強過ぎだけど、誰よりも周りのことを想ってる秋彦が好き。。
エスカルゴの修行中に一目惚れした伊勢うどん屋の娘・桜は尚登の実家讃岐うどん屋の宿敵。。このうどん戦争も面白い。。恋の行方も気になるところ。。

初読み作家さんでしたが、軽快な会話と美味しい料理の数々と仲間の大切さを感じられる一冊。。読んでると、、ぐるぐるお腹が空いちゃいます。。🐌

『去年の冬、きみと別れ』 中村 文則

 

去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)

去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)

 

おすすめ ★★☆☆☆

【内容紹介】

ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていた。だが、動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。この異様さは何なのか? それは本当に殺人だったのか? 「僕」が真相に辿り着けないのは必然だった。なぜなら、この事件は実は――。

 

【感想】

映画の宣伝で「映像不可能」「この罠にハマる」と期待値を上げてたので、、原作読んでみました。。

ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。という、ところから話がスタート。。
複雑な内容と登場人物の歪みが、、混乱してしまい、事件が歪んだ方向に。。事件の資料や手紙が被告の情緒不安定さと残虐性を引き立たせる。。真相がわかった時、、人間の狂気と歪んだ愛に、、嫌な後味だけが残った。。最初から最後まで歪みっぱなし。。

 

 

【注意】こちらから↓はネタバレします

 

ライターの「僕」の取材内容と被告の手紙。被告の幼い頃の家庭環境と残虐な行為と精神的に追い込まれていく様が描かれ、被告の人物像を強く印象付けてます。

真相はある人物が、被告への復讐劇をライターを利用して、小説化したというオチ。誰も殺害していない被告を死刑囚に仕立て上げる復讐劇。。その復讐劇を小説化し、被告に読ませて完全な復讐を遂げるらしい。。最初のページに「M.Mへ そしてJ・Iに捧ぐ」と献辞(これはずっと引っかかっていた部分)が書かれてる理由もラストにわかる。イニシャルが登場人物の誰とも合わないので、意味がわからないままラストへ。。イニシャルは本名で小説だから仮名にしたよって笑。。あり?な衝撃度はありました。。


映画はどんな風に描かれてるのかは、、確かにちと気になる。。

『ちょっと今から仕事やめてくる』 北川 恵海

 

 

おすすめ ★★☆☆☆

【内容紹介】

ブラック企業にこき使われて心身共に衰弱した隆は、無意識に線路に飛び込もうとしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。
同級生を自称する彼に心を開き、何かと助けてもらう隆だが、本物の同級生は海外滞在中ということがわかる。
なぜ赤の他人をここまで気にかけてくれるのか? 気になった隆は、彼の名前で個人情報をネット検索するが、出てきたのは、三年前に激務で鬱になり自殺した男のニュースだった――
働く人ならみんな共感! スカっとできて最後は泣ける"すべての働く人たちに贈る、人生応援ストーリー。

 

【感想】

良い会社に勤められると、、いいですね。。

 

『父の詫び状』 向田 邦子

 

新装版 父の詫び状 (文春文庫)

新装版 父の詫び状 (文春文庫)

 

おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

宴会帰りの父の赤い顔、母に威張り散らす父の高声、朝の食卓で父が広げた新聞…だれの胸の中にもある父のいる懐かしい家庭の息遣いをユーモアを交じえて見事に描き出し、“真打ち”と絶賛されたエッセイの最高傑作。また、生活人の昭和史としても評価が高い。航空機事故で急逝した著者の第一エッセイ集。

 

【感想】

厳格で時には(ほぼ?)理不尽な言い分で道理を通す向田さんの父・敏雄さん。。その父を立てる母・せいさん。
エピソードに驚かされながら、とてもユーモアに描かれ、フッと笑いが込みあげる。時折見せる父の愛情に苦笑い。。父ってこうだよね。。と共感。。
第一話の表題作では、父の客がお酒を飲みすぎて玄関先で粗相をした吐○物を凍てつく雪の朝に片付けている母の姿を見て、労いの言葉をかけることのない父に怒りを覚える。。しばらくすると、父から家族に手紙が。。終わりの方に「此の度は格別の御働き」という一行が朱筆で傍線が引かれてある。。父の詫び状。。一気に気持ちが持ってかれました。。

「お辞儀」がとてもじんわりさせられたお話。
留守番電話には色々な人がメッセージを残していく。。黒柳徹子さんのメッセージが一番面白い。1分では収まらない徹子さん。連続9回残して、最後に「用件は直に」と笑。。父からの立った1回のメッセージは噛み付くような怒鳴り声。。これもなかなか。。笑
旅行に行かない母に妹をつけて香港旅行に行かせた際、空港内でのドタバタから何とか搭乗口まで見送る向田さんに母が振り返り、深々とお辞儀をする。。「どうか落ちないでください。どうしても落ちるのなら帰りにしてください」と祈り、笑いながら涙が止まらなかったそうです。
母の入院。姉妹でお見舞いに行き、帰りのエレベーター前で深々とお辞儀をする母。見送られる姉妹たちはエレベーターの中で心痛む。。涙ぐむお互いの顔を見て見ぬふり。。
二回の母親のお辞儀を見て、自分が育て上げたものへ頭を下げるという行為が子供としての切なさを感じるお話でした。。
東京で働く向田さんの日常から、父と母との思い出が描かれるエッセイ。。今回も背筋が伸びるような気持ちにさせられ、とても良かったです。

 

 

『獣の奏者II王獣編』 上橋 菜穂子

 

獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)

獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)

 

 おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

カザルム学舎で獣ノ医術を学び始めたエリンは、傷ついた王獣の子リランに出会う。決して人に馴れない、また馴らしてはいけない聖なる獣・王獣と心を通わせあう術を見いだしてしまったエリンは、やがて王国の命運を左右する戦いに巻き込まれていく―。新たなる時代を刻む、日本ファンタジー界の金字塔。

 

【感想】

『闘蛇編』で 母がエリンの為にしてしまった禁忌の意味とは?神王国の真王と闘蛇を操る国防との関係を揺るがす戦、真王の護衛・イアルと王獣を操るエリンが巻き込まれていく陰謀、王獣の規律を頑なに守らせる神の国の過去の真実など読み応えあり。。その中でも一番気になるのは孤独な存在であるエリン。彼女を取り巻く人々のそれぞれの想いがエリンの運命を導いていく。。獣と分かり合えても、人とはなかなか分かり合えないであろうエリンの才能と苦悩。。獣の本能を知り、深く悲しみを負いながら、自らの運命に従うエリンのラストシーンにすごく感動しました。。
母となるエリンの『探求編』も引き続き、楽しんでます。

『グレイテスト・ショーマン』

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映画『グレイテスト・ショーマン』予告D - YouTube

 

【感想】

いちいち感動。。(*꒦ິ꒳꒦ີ)ウゥッ。。
途中で拍手したくなる衝動を抑える。。
体が熱くなる。高揚する。感動で震える。。全ての感情が体内を駆け巡りながら鑑賞。。
幸せな気持ちが充満していくわ。。( ´-` )♡
また幸せになりたいから、、また観よう。。

 

 

 

『獣の奏者Ⅰ闘蛇編』 上橋 菜穂子

 

獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)

獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)

 

 おすすめ ★★★★☆

 

【内容紹介】

リョザ神王国。闘蛇村に暮らす少女エリンの幸せな日々は、闘蛇を死なせた罪に問われた母との別れを境に一転する。母の不思議な指笛によって死地を逃れ、蜂飼いのジョウンに救われて九死に一生を得たエリンは、母と同じ獣ノ医術師を目指すが―。苦難に立ち向かう少女の物語が、いまここに幕を開ける。

 

【感想】

母の処刑を目の当たりにした幼いエリンの過酷な試練からのスタート。。母がエリンの為にしてしまった罪とは一体何なのか?続きが気になるので、急いで『王獣編』へ。。