みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『Distny 鎌倉ものがたり』

「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告 - YouTube

おすすめ ★★★★☆

 

【感想】
若い奥様と結婚した、にやけ顔の先生(作家さん)が鎌倉で新婚生活スタート。。ラブラブ💓な二人の前に現れる妖怪たち。。これは鎌倉では日常な事なので、、慣れれば楽しい世界。。にやけ顔先生はたまに警察のお手伝いもしてリーガルハイ的な一面を見せる。。幸せな生活を過ごしてるうちに、、奥様知らぬ間に幽体になってる。。にやけ顔先生は落ち込み落ち込み決意。。「妻を取り戻す!」黄泉の国へ。。江ノ電でいく笑。。「終点、、よみ〜、よみ〜」のあたりで、結構満足な映画でした。。その後の展開は、、笑えるだけ。。笑えるならいいのかな?
色々な夫婦愛を盛り込んでいたけど、、結構あっさり感があって、テンポ良し。。母子家庭って大変なんだろうなぁってシビアな問題も差し込み、、思わぬ死という現実を考えさせられた。。
死神役の安藤サクラさんと貧乏神様役の田中泯さんがすごく良かった。。この二人が登場するとワクワクしてる自分がいる。。(前のめり感があった)

 

『たゆたえども沈まず』 原田 マハ

 

たゆたえども沈まず

たゆたえども沈まず

 

 おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

誰も知らない、ゴッホの真実。

天才画家フィンセント・ファン・ゴッホと、商才溢れる日本人画商・林忠正。 二人の出会いが、〈世界を変える一枚〉を生んだ。

 

【感想】

パリに渡り、浮世絵を売り、日本文化を広める日本人。。林忠正と加納重吉。
災害や苦境にに襲われても沈まない都・たゆたえども沈まないパリを夢見る青年たちが出会う一人の画商。。テオドルス・ファン・ゴッホ。この出会いで、、孤高の画家が生まれる。。まだ「印象派」が認められない時代に、日本美術を愛好する「ジャポニザン」が流行していく。。テオも浮世絵に魅せられていく一人。。重吉との交流を深めながら兄・フィンセントの才能を世に広めたい一心で、全力で支援をする。。日本文化に触れたフィンセントは、パリからアルルに旅立ち、創作意欲に精を出す。。ゴーギャンとの共同生活から、刺激を受ける一方、、精神不安定となり、、入退院を繰り返す日々を送り、、狂気と苦悩の世界を彷徨い出す。。

テオの献身的な支援と健気な想い。。支援を続けるための経済的もだけど、精神的な強さは計りし得ない力が必要と思わせる。。兄の為に強くならなければいけない。。フィンセントもテオもお互い生きる力として必要な存在。。家族が増え、明るい未来を夢見始めた時の最愛の兄・フィンセントの死。。テオの心をいかに砕いてしまったのか。。想像をするだけで、、胸が苦しい。。兄想いと弟想い。。新しい才能が置き去りにされた時代に苦しんだ兄弟の激しくて優しいお話でした。

『秘密は日記に隠すもの』 永井 するみ

 

秘密は日記に隠すもの (双葉文庫)

秘密は日記に隠すもの (双葉文庫)

 

 おすすめ ★★★★☆

 

【感想】

著者最後の作品が、、初読み作品。。
ゆるく繋がる短編連作集。

「トロフィー」
憧れのパパの秘密を知った女子高生。。ママから言われ続けていた「パパみたいな男の人を見つけなさい」の一言が、、ガラリと変わる。。

「道化師」
母の死を受け入れられない40代独身男性。母の紹介から知り合った女性に一目惚れをして恋をしていく。。最後がとても切ないけど、優しい結末。。

「サムシング・ブルー」
不倫に苦しみ女性。しっかり者の妹に心配されながら、辛い恋愛を日記に書き綴る。。どんでん返しな展開に、、姉恐るべし。

「夫婦」
妻を亡くした夫。。妻のいない生活を穏やかに過ごしてる、、と思ったら...。熟年夫婦の似た者同士。。怖いなぁ。

 

思ったより、楽しめました。日記って個人的な部分を自分にさらけ出す物。。でもどこか他人を意識してる。。日記の利用の仕方も様々。。そういう所がこういう話を生み出せるんだなぁと感じました。
わたしも日記を長く書き続けてるので、、他人に覗かれる前にうまく処分できる方法を考えないと。。笑

この作品を書いてる間に著者は亡くなられたそうで、続きの話が読めないのはとても残念でした。冒頭の謎の日記への繋がりがとても気になります。

『うたうひと』 小路 幸也

 

うたうひと (祥伝社文庫)

うたうひと (祥伝社文庫)

 

 おすすめ ★★★★☆

音楽にまつわる短編集🎼🎹🎤🎷🎸🎶
忙しかった年末の時間の隙間に、、一話一話、楽しみました。。実在するミュージシャン(サイモン&ガーファンクル、ドリフターズ柳ジョージなど)のお話が盛り込まれているようです。(ドリフターズの話しか、わからなかった)

どの話もほっこりあったかで、幸せな気分で、、年越しました。。❣️

あけまして、おめでとうございます🌅
今年もよろしくお願いします。。😌

『猿の見る夢』 桐野 夏生

 

猿の見る夢

猿の見る夢

 

 おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

これまでで一番愛おしい男を描いた――桐野夏生

還暦、定年、老後――終わらない男”の姿を、現代社会を活写し続ける著者が衝撃的に描き切る!

 

【感想】

一流企業に勤める定年間近の薄井正明。。元大手銀行勤務で出向先の企業では会長の元で順調に仕事をこなすデキル男。。10年来の愛人・美優樹との週2回のデートを楽しみ、、会長秘書・朝川とも関係を持ちたがり、、妻とは別れる気のない女難の相が明らかにありそうな私生活。。退職金と親の遺産で安定した老後の暮らし(女性関係維持)を夢見る最中、、妻が連れてきた謎の占い師・長峰。。彼女の見る夢は今後の人生を指し示す。。彼女が現れてから、、薄井の人生が、、大きく変わっていく。。

男性の理想の人生?女性関係のダメダメっぷりさに、、あぁ..これが男性の本質なんだろうなぁと、、すごく納得。。実母と実妹に対しての非情さは人間性を疑うけど、どの人ともいい顔をして、嫌われないようにビクビクしてる小心者っぷりが、器なしと、、またまた納得。。仕事がデキル所は好き。。打算的な生き方もある程度必要。。女性からの振り回され方も可愛げあり。。ただリスクある人生と理解してない所と、女性を甘く見てる所で、嫌悪感全開。。計算高さvs夢見占いのバトル、面白かった。。あと、表紙が面白い。。笑。

『甘いお菓子は食べません』 田中 兆子

 

甘いお菓子は食べません (新潮文庫)

甘いお菓子は食べません (新潮文庫)

 

 おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

「もうセックスはしたくない」と夫から宣言された女。母になるか否かを考え続ける女。アルコール依存から脱することのみを目的に生きる女。ほんとうはもっと愛したい、もっともっと愛されたい、なのに―。すべて剥がれ落ちた果てに、彼女たちが見つけた欲望の正体とは。生きることの危うさと悦びを、迫力の筆致であぶり出す。第10回R‐18文学賞大賞受賞作。

 

 

この本はどうやら「ディープでエロいの❤️」という本らしい。。本交換会での交換本。。今回は動物のテーマだったので、、表紙が確かに動物。。中身は...
連作短編集。。40代で初めてプロポーズされた女性(3人の既婚者、独身者の本音トークがなかなか)、夫から「もうセックスできない」と言われた妻(律儀な旦那様ね。。妻の悩みの解決法はどうしたらよいのでしょう)、アルコール依存症で悩む母(一歩間違えれば、な話。。ただただ優しい夫に、、嫌悪感あり)、50目前でリストラされた女性(人は孤独なようで、、決して孤独じゃないと思えた。。この中では爽やかなお話)
ここまで読んで、うんうん。。女性の深い部分。。確かにディープだなぁと、、さてさて最後のお話へ。。溢れ出る性欲に悩む女性(過激度No.1...べしみ、、飼い慣らすのは大変なんだね。。これは、細かく書けないけど、、深い悩みなんだと思う)

うん。。確かにディープでエロかった。。かといって全く不快はなく、40代女性のナーバスな悩みと本音。。でも男性はびっくりするんじゃないかなぁ?。。☺️📖なかなかなデビュー作。。

 

『くちなし』 彩瀬 まる

 

くちなし

くちなし

 

 おすすめ ★★★☆☆

 

【感想】

『くちなし』 彩瀬 まる

「くちなし」
浮気男「別れたい」
愛人「じゃあ、左腕ちょうだい」
浮気男「いいよ。もちろん」ポキッ。
別れた男の左腕と暮らす愛人。
その妻「夫の左腕を返して」
愛人「じゃあ、代わりにあなたの腕ちょうだい」
その妻「いいわ」ポキッ。
妻の腕と暮らす愛人。。
(この展開に、ついていくのに時間がかかった)

「花虫」
体から生える花。見える人は運命の人。夢のような愛の世界を覆す科学の力。。
(理想と現実。。現実を受け入れるのも大変ね)

「愛のスカート」
好きな男の恋を、もやもやしながら、応援してる女性の話。。
(すごく普通で、、逆に驚きました)

「けだものたち」
愛する男を喰らう蛇女。。「食べちゃいたいくらい好き」で「食べたら気持ちが良い」から仕方がない。。
(この感覚を理解してあげないと、、受け入れ方が難しそう)

「薄布」
お人形遊び...国の事情で生活困窮の子供たち。富裕層がお好みの子供を買い、遊ぶ。
冷ややかな家族との暮らしの寂しさを埋めるために、少年を弄ぶ女。。
(歪んだ世界。。拒絶感溢れる。。心の埋め方が強烈なほど、、虚しい)

「茄子とゴーヤ」
不倫相手を乗せたまま事故死した夫と死後離婚した女性。浮気を繰り返されても大好きだった夫。夫を愛していたのか、家族に貢献している自分に満足していたのか、、髪を茄子色に染めて、もらったゴーヤを調理しながら「いい妻ごっこ」の思い出に耽るお話。。
(いちばん、共感しちゃった。。ちと引く妻だけど、、なんとなくわかる)

 

どの話も唐突に違和感のある不思議な世界に放り込まれる(最初は戸惑うけど、そのうち歪な世界に溶け込めます)非現実的な世界の中で、現実的で切実な問題を抱える女性ばかり。。
離れれば離れるほど、、愛の本質が見える。。愛に近づいても、、どうしようもないことはどうしようもない。。と、思いました。