みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『うたうひと』 小路 幸也

 

うたうひと (祥伝社文庫)

うたうひと (祥伝社文庫)

 

 おすすめ ★★★★☆

音楽にまつわる短編集🎼🎹🎤🎷🎸🎶
忙しかった年末の時間の隙間に、、一話一話、楽しみました。。実在するミュージシャン(サイモン&ガーファンクル、ドリフターズ柳ジョージなど)のお話が盛り込まれているようです。(ドリフターズの話しか、わからなかった)

どの話もほっこりあったかで、幸せな気分で、、年越しました。。❣️

あけまして、おめでとうございます🌅
今年もよろしくお願いします。。😌

『猿の見る夢』 桐野 夏生

 

猿の見る夢

猿の見る夢

 

 おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

これまでで一番愛おしい男を描いた――桐野夏生

還暦、定年、老後――終わらない男”の姿を、現代社会を活写し続ける著者が衝撃的に描き切る!

 

【感想】

一流企業に勤める定年間近の薄井正明。。元大手銀行勤務で出向先の企業では会長の元で順調に仕事をこなすデキル男。。10年来の愛人・美優樹との週2回のデートを楽しみ、、会長秘書・朝川とも関係を持ちたがり、、妻とは別れる気のない女難の相が明らかにありそうな私生活。。退職金と親の遺産で安定した老後の暮らし(女性関係維持)を夢見る最中、、妻が連れてきた謎の占い師・長峰。。彼女の見る夢は今後の人生を指し示す。。彼女が現れてから、、薄井の人生が、、大きく変わっていく。。

男性の理想の人生?女性関係のダメダメっぷりさに、、あぁ..これが男性の本質なんだろうなぁと、、すごく納得。。実母と実妹に対しての非情さは人間性を疑うけど、どの人ともいい顔をして、嫌われないようにビクビクしてる小心者っぷりが、器なしと、、またまた納得。。仕事がデキル所は好き。。打算的な生き方もある程度必要。。女性からの振り回され方も可愛げあり。。ただリスクある人生と理解してない所と、女性を甘く見てる所で、嫌悪感全開。。計算高さvs夢見占いのバトル、面白かった。。あと、表紙が面白い。。笑。

『甘いお菓子は食べません』 田中 兆子

 

甘いお菓子は食べません (新潮文庫)

甘いお菓子は食べません (新潮文庫)

 

 おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

「もうセックスはしたくない」と夫から宣言された女。母になるか否かを考え続ける女。アルコール依存から脱することのみを目的に生きる女。ほんとうはもっと愛したい、もっともっと愛されたい、なのに―。すべて剥がれ落ちた果てに、彼女たちが見つけた欲望の正体とは。生きることの危うさと悦びを、迫力の筆致であぶり出す。第10回R‐18文学賞大賞受賞作。

 

 

この本はどうやら「ディープでエロいの❤️」という本らしい。。本交換会での交換本。。今回は動物のテーマだったので、、表紙が確かに動物。。中身は...
連作短編集。。40代で初めてプロポーズされた女性(3人の既婚者、独身者の本音トークがなかなか)、夫から「もうセックスできない」と言われた妻(律儀な旦那様ね。。妻の悩みの解決法はどうしたらよいのでしょう)、アルコール依存症で悩む母(一歩間違えれば、な話。。ただただ優しい夫に、、嫌悪感あり)、50目前でリストラされた女性(人は孤独なようで、、決して孤独じゃないと思えた。。この中では爽やかなお話)
ここまで読んで、うんうん。。女性の深い部分。。確かにディープだなぁと、、さてさて最後のお話へ。。溢れ出る性欲に悩む女性(過激度No.1...べしみ、、飼い慣らすのは大変なんだね。。これは、細かく書けないけど、、深い悩みなんだと思う)

うん。。確かにディープでエロかった。。かといって全く不快はなく、40代女性のナーバスな悩みと本音。。でも男性はびっくりするんじゃないかなぁ?。。☺️📖なかなかなデビュー作。。

 

『くちなし』 彩瀬 まる

 

くちなし

くちなし

 

 おすすめ ★★★☆☆

 

【感想】

『くちなし』 彩瀬 まる

「くちなし」
浮気男「別れたい」
愛人「じゃあ、左腕ちょうだい」
浮気男「いいよ。もちろん」ポキッ。
別れた男の左腕と暮らす愛人。
その妻「夫の左腕を返して」
愛人「じゃあ、代わりにあなたの腕ちょうだい」
その妻「いいわ」ポキッ。
妻の腕と暮らす愛人。。
(この展開に、ついていくのに時間がかかった)

「花虫」
体から生える花。見える人は運命の人。夢のような愛の世界を覆す科学の力。。
(理想と現実。。現実を受け入れるのも大変ね)

「愛のスカート」
好きな男の恋を、もやもやしながら、応援してる女性の話。。
(すごく普通で、、逆に驚きました)

「けだものたち」
愛する男を喰らう蛇女。。「食べちゃいたいくらい好き」で「食べたら気持ちが良い」から仕方がない。。
(この感覚を理解してあげないと、、受け入れ方が難しそう)

「薄布」
お人形遊び...国の事情で生活困窮の子供たち。富裕層がお好みの子供を買い、遊ぶ。
冷ややかな家族との暮らしの寂しさを埋めるために、少年を弄ぶ女。。
(歪んだ世界。。拒絶感溢れる。。心の埋め方が強烈なほど、、虚しい)

「茄子とゴーヤ」
不倫相手を乗せたまま事故死した夫と死後離婚した女性。浮気を繰り返されても大好きだった夫。夫を愛していたのか、家族に貢献している自分に満足していたのか、、髪を茄子色に染めて、もらったゴーヤを調理しながら「いい妻ごっこ」の思い出に耽るお話。。
(いちばん、共感しちゃった。。ちと引く妻だけど、、なんとなくわかる)

 

どの話も唐突に違和感のある不思議な世界に放り込まれる(最初は戸惑うけど、そのうち歪な世界に溶け込めます)非現実的な世界の中で、現実的で切実な問題を抱える女性ばかり。。
離れれば離れるほど、、愛の本質が見える。。愛に近づいても、、どうしようもないことはどうしようもない。。と、思いました。

 

 

『銀二貫』 高田 郁

 

銀二貫 (幻冬舎時代小説文庫)

銀二貫 (幻冬舎時代小説文庫)

 

 おすすめ ★★★★★

【内容】

大坂天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。大火で焼失した天満宮再建のための大金だった。引きとられ松吉と改めた少年は、商人の厳しい躾と生活に耐えていく。料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、またもや大火が町を襲い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。

 

【感想】

松吉の健気な寒天や人々への想い、番頭さんの厳しさと優しさ、松吉と想いを寄せ合う真帆の一途な愛、、どんな困難にも毅然と立ち向かう和助の商才と器の大きさ。。どこを取っても素晴らしかった。
時代小説は苦手なので、敬遠してたけど、、読んでよかった。

あとがきに著者の取材の取り組み方が書かれていて、資料はもちろん、、実際に寒天を試行錯誤しながら、作り上げていた事(餡から作成)など、、この本へかけた情熱の強さ。、、改めて、丁寧に作り上げた作品と納得しました。


商いの大切な極意が、、ぎっしり詰まった一冊。。最高のお金の使い方だなぁ。。ラスト一行に号泣です。

 

 

『天使の棺』 村山 由佳

 

天使の柩 (集英社文庫)

天使の柩 (集英社文庫)

 

 おすすめ 

 

【内容紹介】

家にも学校にも居場所を見出せず、自分を愛せずにいる14歳の少女。茉莉。かつて最愛の人を亡くし、心に癒えない傷を抱え続けてきた画家・歩太。20歳年上の歩太と出会い、茉莉は生まれて初めて心安らぐ居場所を手にする。二人はともに「再生」への道を歩むが、幸福な時間はある事件によって大きく歪められ―。いま贈る、終わりにして始まりの物語。『天使の卵』から20年、ついに感動の最終章。

 

【感想】

天使シリーズ最終章。
10年以上前に『天使の卵』を読み、7年前に『天使の梯子』を読み、、やっと最終章を読む。。

歩太、夏姫、慎一、歩太ママ、春妃(思い出の中)の登場で、、じんわり懐かしさが込み上げる。。今回、加わった新たな登場人物。
祖母から「母親譲りのいやらしい子」と言われ続けて育った茉莉。母が出て行き、祖母が亡くなり、父親から避けられ、父在宅時、外鍵を掛けられ顔を合わせない異常な生活を送る。。それでも、父のために家事をする健気な茉莉。家にも学校にも自分の居場所がない茉莉はタクヤという不良少年と付き合い、危険な世界(最悪過ぎて、、心砕けるよ)に...。
茉莉が歩太たちと出会い、交流する事で、、本当の自分の居場所を見つけ、歩太も20年前の悲しみから、やっと前に進むことができたこと。。そんな歩太を見守り続けた夏姫たちの想い。。今読んで良かった。。年月をかけて読んだことにより、よりリアリティに感じられ、わたしにも安堵を与えてくれる最終章でした。。

歩太が茉莉の入れたお茶を飲んで一言。
「スーパーの安い煎茶を、ここまでおいしく淹れられる中学生って無敵だよね」
ここ、、わたしのキュン所でした💕(いらない情報、ごめんなさい笑)

 

『インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実』 真梨 幸子

 

インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実 (徳間文庫)
 

 おすすめ ★★★★☆

 

【内容紹介】

一本の電話に月刊グローブ編集部は騒然となった。男女数名を凄絶なリンチの末に殺した罪で起訴されるも無罪判決を勝ち取った下田健太。その母・茂子が独占取材に応じるという。茂子は稀代の殺人鬼として死刑になっ たフジコの育ての親でもあった。 茂子のもとに向かう取材者たちを待ち受けていたものは。50万部突破のベストセラー『殺人鬼フジコの衝動』を超える衝撃と戦慄のラストシーン !

 

【感想】

『殺人鬼フジコの衝動』の疲れを引きずったまま、続編に突入。。また嫌な話の連続。。でもDV支配の被害者心理がとてもわかりやすく、、監禁から逃げられない女性を縛るのは、「手枷や足枷は必要ない、強い恐怖心だけあれば」。。恐怖の支配は逃げるという判断を失い、されるがままになるということを本能で知る支配者。。絶対出会いたくない。。(><)💦

こちらの加害者は人の心理を弄び、邪魔になると殺すという残虐さ。。人間を自分の快楽の対象物としか扱わない最低最悪な人。。フジコをマシと思いたくないけど、まだフジコの方が可愛げがあると思ってしまうほど、、強烈に憎しみが残るタイプ。。
フジコの事件の真実も明かされ、2冊読むことをおすすめします。。

(気分が嫌になるので、特におすすめはしませんが、『殺人鬼フジコの衝動』を読んだなら、、というだけです。)