みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『犬とハモニカ』  江國 香織

 

犬とハモニカ (新潮文庫)

犬とハモニカ (新潮文庫)

 

 おすすめ ★★★☆☆

 

【内容紹介】

外国人青年、少女、老婦人、大家族……。空港の到着ロビーで行き交う人々の、人生の一瞬の重なりを鮮やかに掬い取った川端賞受賞の表題作。恋人に別れを告げられ、妻が眠る家に帰った男性の心の変化をこぼさず描く「寝室」。“僕らは幸福だ”“いいわ”――夫婦間の小さなささくれをそっと見つめた「ピクニック」。わたしたちが生きる上で抱え続ける、あたたかい孤独に満ちた、六つの旅路。

 

【感想】

表題作「犬とハモニカ」空港で行き交う人々の重なる刹那的な物語。。関わりあいのない人達の小さな人生と記憶にも残らない一瞬の出会いがとても短いお話の中で描かれています。。些細なことでも心の奥にひっそりとしまい込む事ってあるなぁと思いました。 表題作を含む6編のお話。あっさりとした日常の中で男女の儚い心情や孤独があり。。隙間時間を埋めるにはちょうど良い作品でした。

『桜宵』 北森 鴻

 

桜宵 (講談社文庫)

桜宵 (講談社文庫)

 

 おすすめ ★★★★☆

 

【内容紹介】

一度たずねてみてください。わたしがあなたに贈る最後のプレゼントを用意しておきました――。そう綴られた亡き妻の手紙だけを頼りに、ビアバー《香菜里屋》にやってきた神崎。マスター・工藤が語った、妻がプレゼントに込めた意味とは……。客から持ちかけられた謎の数々を解き明かす連作短編集の第2弾。

 

【感想】

三軒茶屋の路地裏にあるビアバー「香菜里屋」のマスター工藤が常連客の不思議な謎を解き明かすお話。 切ない人間模様もあるけれど、、、それ以上にお料理が食べたい。前回の『花の下にて春死なむ』でも、、同じ感想であったはず、、と思ったら感想ちゃんと書いてた。。こちらも時間があったら書きます。

『危険な世界史』  中野 京子

 

危険な世界史 運命の女篇 (角川文庫)

危険な世界史 運命の女篇 (角川文庫)

 

 おすすめ ★★★★☆

 

【感想】

世界史を全くわからないわたしでも、楽しめる一冊。 血の争いがお盛んな時代。嫉妬、権力、愛憎・・・男女の繊細な駆け引きなど全く見受けられない率直さ(本人たちはすごい駆け引きをしているのだろう)怖いので、遠目から覗いているくらいが丁度良しです。 第二章の「映画が語る世界史」が面白かった。観ていない作品を含め、映画鑑賞の目線がとても興味深く感じられます。。芸術家を描いた作品はシリアスな中でも激しさがあり、どの作品も観てみたいと思わせてくれます。 『ピアノ・レッスン』好きでした。また観たいなぁ。

シリーズ第2弾だそうです。。第1弾読んでないや笑。

『怖い絵』 中野 京子

 

怖い絵 (角川文庫)

怖い絵 (角川文庫)

 

 おすすめ ★★★★★

 

【感想】

画家の心情や生い立ち、時代背景、歴史から紐解く名画の奥に潜む恐怖。。
女性差別、繰り返される愛憎劇、老婆に対する嘲り、ギリシャ神話、魔女裁判、王家の政略など。。人間の権力、性愛、脆さ、差別、傲慢、憎悪が浮かび、、絵から断末魔が聞こえそう。。名画を生み出す画家の繊細さと狂気の紙一重さを感じた一冊。。怖いもの見たさで他の作品の怖さも知りたい。

 

『落下する夕方』 江國 香織

 

落下する夕方 (角川文庫)

落下する夕方 (角川文庫)

 

 おすすめ ★★★★★

 

 【内容紹介】

八年間一緒に暮らした健吾と別れた。入れ違いに押しかけて来たおかしな同居人華子のおかしな魅力に取りつかれはじめる私。永遠の日常を清新なまなざしで追う、新しい世代の恋愛小説。

 

【感想】

再読しました。以前は衝撃的で読後は放心状態になりました(『落下する夕方』 江國 香織 - みみの無趣味な故に・・・

今回はとても静かに絶望を受け止められるようになった。。大人の中でもがき苦しむ華子を冷静に読み返すことができたからかもしれない。
健吾と同棲していた梨果は突然ふられる。健吾を忘れられないまま健吾の片思いの女性・華子と同居。。華子は自由奔放で無邪気で冷静で魅力的な女性。。男性を狂わせてしまう華子に最初は理解できない梨果もどんどん惹かれて行く。。衝撃的な華子という女性を通して健吾から自立していく梨果の失恋再生物語。。
どの人からも愛されるが愛することをわからない女性。愛を知って、失い、憎みきれない女性。愛する女性に苦しみながら愛し切る男性。。みんな切ないなぁ。

 

 

『コタローは1人暮らし1~3』 津村 マミ

 

コタローは一人暮らし 1 (ビッグコミックス)

コタローは一人暮らし 1 (ビッグコミックス)

 

 

コタローは一人暮らし 2 (ビッグコミックス)

コタローは一人暮らし 2 (ビッグコミックス)

 

コタローは1人暮らし(3) (ビッグコミックス)

コタローは1人暮らし(3) (ビッグコミックス)

 

 

おすすめ ★★★★☆

 

【内容紹介】

訳あり独居4歳児アパートメントコメディー

「アパートの清水」に突如、コタローという4歳の少年が引っ越してきた。
なんと彼は一人暮らし・・・!しかしながら妙に生活力があり、むしろアパートのちょっと駄目な隣人の大人たちよりも余程しっかりしていて!?
そんなコタローのちょっとずつ明らかになる過去に、皆が心を震わせていく・・・
笑って泣けるアパートメントコメディーの開劇!!

【編集担当からのおすすめ情報】
4歳児らしからぬ生活力を持つコタロー。
しかし何も不自由なく暮らしている彼には、様々な「訳」があります。
可愛さの合間にちょっと見える、寂しげな表情・・・
そんなコタローの愛くるしさに悶絶し、切なさにホロリとしてください!

 

【感想】

しっかり者のコタローくん。しっかりの裏では切ない事情が・・・

笑える...泣ける...心痛む...ほんの少し強くなれる...漫画です。

 

『木漏れ日に泳ぐ魚』 恩田 陸

 

木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫)

木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫)

 

 おすすめ ★★★☆☆

 

【内容紹介】

舞台は、アパートの一室。別々の道を歩むことが決まった男女が最後の夜を徹し語り合う。初夏の風、木々の匂い、大きな柱時計、そしてあの男の後ろ姿―共有した過去の風景に少しずつ違和感が混じり始める。濃密な心理戦の果て、朝の光とともに訪れる真実とは。不思議な胸騒ぎと解放感が満ちる傑作長編。

 

【感想】

1枚の写真についての物語でもあり、ある男の死を巡る謎についての物語でもあり、山の話でもあり、、そして、一組の男女の別離の話でもある。。

男女が引越しをする前夜。。別れの時を過ごす。。お互いがあの男を殺したのではないか?今夜、告白させることができるか?男女の心理攻防戦という長い夜が始まる。。...
部屋の一室、お互いの疑心を悟られず、男女が思い出話を話す。。2人の曖昧な記憶を辿るうちに予想外の真実が暴かれる。。

何を書いても、ネタバレしてしまうお話。。ミステリーのような。。ミステリー?のような、、早い段階で色んな事実が発覚。真実も早めにわかります。。愛の話に突入してました。。謎の真実が気になり、一気読みしていたら、、謎より興味深い、、愛の物語でした。最初の吸引力は凄かったです。。一気読みしました。。途中から、読む力が弱まりましたが、話が盛りだくさんなので、もう少しシンプルにまとまってもいいかなぁと思いました。