おすすめ ★★★★☆
グリコ・森永事件で使用された子供の声の恐喝テープを元に描かれた小説。知らぬ間に巻き込まれたテープの主が大人になり、自分の罪の深さに苦しみながら過去の事件に向き合い家族の在り方を考えさせられるお話です。
曽根俊也は父の遺品から黒革のノートやカセットテープを見つけ、懐かしい幼い頃の自分の声を聞く。。その内容が世を震撼させた「ギンガ萬堂事件」(グリコ森永事件)の恐喝で使われたテープだった。。俊也は知らぬ間に事件に関与してしまった罪悪感を抱き、父の過去を調べる。。
新聞記者の阿久津は年末企画の昭和・平成の未解決事件特集の担当となり、「ギン萬事件」の取材に取り掛かる。。事件の真相を追いかけていく内に、俊也に辿り着く。。点と点が繋がったとき、、事件の裏で一つの悲しい真実が。。
この小説の前に読んだノンフィクション『闇に消えた怪人 グリコ・森永事件の真相』ではキツネ目の男は目撃情報が浮上していてもその存在が明らかにされない。。近づけたと思うとスッと目の前で消えてしまう亡霊のような存在で、、小説のようなお話だと思った。。
『罪の声』では、キツネ目の男が実在し、、確信に触れている気がするほどリアリティのある話だった。。
とても不思議な感覚だが、ノンフィクションを先に読んでいたおかげでとても読みやすく、あの事件の真相が明らかになる!という点で最後までワクワクしながら読めました。
幼い声を大事件に巻き込ませる犯人たちの非情さや冷酷さが何よりもこの事件の闇の深さと恐怖を物語っている。。と動悸が止まらない読後でした。。