みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『罪の声』 塩田 武士

 

罪の声

罪の声

 

 おすすめ ★★★★☆

 

グリコ・森永事件で使用された子供の声の恐喝テープを元に描かれた小説。知らぬ間に巻き込まれたテープの主が大人になり、自分の罪の深さに苦しみながら過去の事件に向き合い家族の在り方を考えさせられるお話です。

 

曽根俊也は父の遺品から黒革のノートやカセットテープを見つけ、懐かしい幼い頃の自分のを聞く。。その内容が世を震撼させた「ギンガ萬堂事件」(グリコ森永事件)の恐喝で使われたテープだった。。俊也は知らぬ間に事件に関与してしまった悪感を抱き、父の過去を調べる。。

新聞記者の阿久津は年末企画の昭和・平成の未解決事件特集の担当となり、「ギン萬事件」の取材に取り掛かる。。事件の真相を追いかけていく内に、俊也に辿り着く。。点と点が繋がったとき、、事件の裏で一つの悲しい真実が。。

 

この小説の前に読んだノンフィクション『闇に消えた怪人 グリコ・森永事件の真相』ではキツネ目の男は目撃情報が浮上していてもその存在が明らかにされない。。近づけたと思うとスッと目の前で消えてしまう亡霊のような存在で、、小説のようなお話だと思った。。
』では、キツネ目の男が実在し、、確信に触れている気がするほどリアリティのある話だった。。

とても不思議な感覚だが、ノンフィクションを先に読んでいたおかげでとても読みやすく、あの事件の真相が明らかになる!という点で最後までワクワクしながら読めました。

幼いを大事件に巻き込ませる犯人たちの非情さや冷酷さが何よりもこの事件の闇の深さと恐怖を物語っている。。と動悸が止まらない読後でした。。

『闇に消えた怪人グリコ・森永事件の真相』 一橋 文哉 

 

闇に消えた怪人―グリコ・森永事件の真相 (新潮文庫)

闇に消えた怪人―グリコ・森永事件の真相 (新潮文庫)

 

 おすすめ ★★★☆☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

平成12年2月13日、最終時効成立!江崎グリコ社長誘拐事件に端を発した、一連のグリコ・森永事件。発生から16年、ついに最後の時効がやってきた。捜査線上に浮かんでは消えていった、元警察官、韓国コネクション…、そしてキツネ目の男。「かい人21面相」の正体は?完全犯罪への道のりは?文庫化にあたり「時効に捧ぐ」を新たに収録。

 

「怪人21面相」江崎グリコ社長誘拐事件を発端に青酸混入事件、警察マスコミへの挑戦状の数々。。あらゆる証拠品、声明テープ、キツネ目の男の目撃情報など浮上する中、なぜ犯人は捕まらないのか?

劇場型犯罪と呼ばれた大手食品流通企業、消費者を脅かす謎の未解決事件。

グリコの対応(自社内で奮起するため周囲の対応策が遅れ、裏取引の疑惑浮上)に対し、森永の対応(国、マスコミの協力を要請。裏取引のないクリーンイメージを世論に訴える。)の違い。企業戦略の差が全く違うが、信頼回復の差がグリコの方が早いというのも興味深い。。

左翼系過激派、政治家、警察官、自衛官暴力団、企業社員、株の仕手筋、韓国の大物たちまで絡む複雑な繋がりと一言では言い表せない情報量が詰まった一冊。ただ最後が駆け足で終わってしまい、残念。。
それにしてもわたしの幼少時代に起きた小説のような事件。警察の捜査がことごとく失敗している中、公開された似顔絵の男F(fox)。。Fはどこに?ゲーム感覚のような脅迫文や挑戦状の記載されていた。どれもゾッとする。。この事件でたった一つの命が失われた悲劇が国民感情を怒りに変える(マスコミも大衆もそれまでは劇場のように楽しんでいる様子さえ見受けられる事も恐怖)

基本概要飲み込みました。。『罪の声』(この事件を元にした小説)を読んでみたいと思います。

 

『暗幕のゲルニカ』 原田 マハ

 

暗幕のゲルニカ

暗幕のゲルニカ

 

 おすすめ ★★★★☆

 

内容紹介

一枚の絵が、戦争を止める。私は信じる、絵画の力を。手に汗握るアートサスペンス! 反戦のシンボルにして2 0世紀を代表する絵画、ピカソの〈ゲルニカ〉。国連本部のロビーに飾られていたこの名画のタペストリーが、2003年のある日、突然姿を消した―― 誰が〈ゲルニカ〉を隠したのか? ベストセラー『楽園のカンヴァス』から4年。現代のニューヨーク、スペインと大戦前のパリが交錯する、知的スリルにあふれた長編小説。

 

MoMAのキュレーター・ヨーコ・ヤガミは10歳の時にピカソの「ゲルニカ」に心を奪われ、ピカソの研究を続ける。仕事も結婚生活も充実した日々を送る中、アメリカ同時多発テロで最愛の夫を失う悲劇に見舞われる。失意の中で報復を宣言するアメリカ。。記者会見場(国連本部ロビー)で目にしたのはロビーに飾られた暗幕をかけられた「ゲルニカ」のタペストリー。。誰が?なぜ?暗幕をかけたのか?

その暗幕のゲルニカの謎からニューヨークとスペインを舞台に駆け巡り、、ピカソと恋人ドラの過酷な歴史を紐解き、ヨーコの研究家として、アートの世界に魅入られた一人の人間として「ゲルニカ」という一枚の名画が放つ反戦への想い、絵の真意を負の連鎖を繰り返す世界に訴えるための戦いが始まる。

時を繋ぎながら、時代背景や心の描写を描き残せる名画たちの数々。その中でも「ゲルニカ」という名画から戦争の恐ろしさ、テロで失われた罪なき人の命、残された人の悲しみと怒り。。そこを描ける小説家の力も偉大だと思う。

ピカソへのドラの愛はマハさんが乗り移ったかのような、ものすごくリアルで情熱的で芸術そのものでした。

 

 

『BILLIY BAT 1〜20』浦沢 直樹

 

BILLY BAT コミック 1-20巻セット (モーニング KC)
 

おすすめ ★★★★☆

 

下山事件から始まり、伊賀の乱、ケネディ暗殺、フランシスコ・ザビエル東京オリンピックアインシュタインヒトラー関東大震災、9・11同時多発テロとあらゆる歴史もビリーバットに操られている人類?世界で戦争が起き、、人類滅亡の危機を救うのは、、コウモリが人類に決断を下す。。相変わらず、途中までの盛り上がりが面白い浦沢作品。。ペンは世界を救う?お話だったのかなぁ。。

『プリンセス・トヨトミ』 万城目 学

 

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

 

 おすすめ ★★★★☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

このことは誰も知らない―四百年の長きにわたる歴史の封印を解いたのは、東京から来た会計検査院の調査官三人と大阪下町育ちの少年少女だった。秘密の扉が開くとき、大阪が全停止する!?万城目ワールド真骨頂、驚天動地のエンターテインメント、ついに始動。特別エッセイ「なんだ坂、こんな坂、ときどき大阪」も巻末収録。

 

舞台は大阪城が見える府庁と空堀商店街。そこに会計検査院(国の税金の使い途を調査するお役所)の調査が入る。社団法人OJOの調査を進めていくうちに大阪の秘密を知る事に。「大阪国」が代々守り続けている子供(豊臣家の末裔)。その運営費に使用されている5億円。。果たして無駄遣いなのか??
調査官が出した決断は??

国家試験をトップの成績で合格する頭脳明晰な副長「鬼の松平」(不正が見つかると鬼の如く徹底的に打ちのめす)と見た目がほぼ外国人?のスタイル抜群でハーバード大学卒業、優秀な経歴を持つ部下1・旭ゲーンズブールとカンが冴える見た目は中学生、中身は大人の部下2・「ミラクル鳥居」の調査官たち。。

対する大阪国の面々は代々から受け継ぐ使命を強く持ち、決して口には出さず、その時(子供の危機)が来るまで変哲もない日常を過ごす一般庶民。

調査官VS大阪国の壮大な攻防戦のきっかけとなる地元中学生たちも密かに大きな戦いを繰り広げていて。。ドタバタ劇?ではあるが、こういうあり得ないお話があり得るのではないかと思うほど、よくできたお話。。

都市伝説的ってこんな感じなのであろう。小さな商店街でひっそり暮らす人々には実は大きな使命があり、、だからこそ頑なに守られながらも、子守歌のように漏れる。。でも幻想的なお話だから真実味はない。。的なのが世に伝わっていくみたいな。。


歴史の苦手なわたしですが、特に戦国時代から江戸時代は覚えることがたくさんで大の苦手。倒幕してくれた事への安堵を感じていたものです。関係ないけど、そんな思い出が蘇った本でした。。。

 

 

 

『武士道ジェネレーション』 誉田 哲也

 

武士道ジェネレーション

武士道ジェネレーション

 

 おすすめ ★★★★☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

あれから六年、大学を卒業した早苗は結婚。香織は、道場で指導しながら変わらぬ日々を過ごすが、玄明先生が倒れ、桐谷道場に後継者問題が―。剣道女子を描く傑作エンタメ、六年ぶりの最新刊。

 

剣道女子の二人も大人になり、早苗の結婚生活、香織の桐谷道場の跡継ぎ問題、新たなる出会い♡など、またまた楽しめた。日本の歴史に触れる部分が時折あるのが、多少気になったけど、二人の関係がとても感じよい。早苗の主婦業もほほえましいし、現役剣道家たちを見て心寂しい気持ちもよくわかる。香織の武士道へのさらなる成長、身をもって伝える真摯な姿勢に惚れ惚れしてしまう。可愛らしいラストにもほんわか。。香織の〇〇生活、、読んでみたいなぁ。。

大人になった二人を読んで、やっぱりシックスティーンの葛藤、試練、挑戦、成長をまた読みたくなる。。と思える爽やかな剣道女子の物語でした。

『人生エロエロ』 みうら じゅん

 

人生エロエロ (文春文庫)

人生エロエロ (文春文庫)

 

 

この本は読書友から読書友へと巡りめぐる旅をして、、わが元に。。。

とことん、、徹底的にエロを考える。。すごいなぁ。。
阿川さんとの対談でみうらさんが「自分なくしの旅、、自分を探すのはしんどい。。なくせば楽」(自分探しって、、意識的にしてる人はいるのかなぁ。。なくすかぁ。。これもこれで難しいような。。なんて事を考えてみた。。)

過激な内容なのになぜか眠ってしまうんです。男の人ってあんな感じなんだと苦笑いの連発でした。。