みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『暗幕のゲルニカ』 原田 マハ

 

暗幕のゲルニカ

暗幕のゲルニカ

 

 おすすめ ★★★★☆

 

内容紹介

一枚の絵が、戦争を止める。私は信じる、絵画の力を。手に汗握るアートサスペンス! 反戦のシンボルにして2 0世紀を代表する絵画、ピカソの〈ゲルニカ〉。国連本部のロビーに飾られていたこの名画のタペストリーが、2003年のある日、突然姿を消した―― 誰が〈ゲルニカ〉を隠したのか? ベストセラー『楽園のカンヴァス』から4年。現代のニューヨーク、スペインと大戦前のパリが交錯する、知的スリルにあふれた長編小説。

 

MoMAのキュレーター・ヨーコ・ヤガミは10歳の時にピカソの「ゲルニカ」に心を奪われ、ピカソの研究を続ける。仕事も結婚生活も充実した日々を送る中、アメリカ同時多発テロで最愛の夫を失う悲劇に見舞われる。失意の中で報復を宣言するアメリカ。。記者会見場(国連本部ロビー)で目にしたのはロビーに飾られた暗幕をかけられた「ゲルニカ」のタペストリー。。誰が?なぜ?暗幕をかけたのか?

その暗幕のゲルニカの謎からニューヨークとスペインを舞台に駆け巡り、、ピカソと恋人ドラの過酷な歴史を紐解き、ヨーコの研究家として、アートの世界に魅入られた一人の人間として「ゲルニカ」という一枚の名画が放つ反戦への想い、絵の真意を負の連鎖を繰り返す世界に訴えるための戦いが始まる。

時を繋ぎながら、時代背景や心の描写を描き残せる名画たちの数々。その中でも「ゲルニカ」という名画から戦争の恐ろしさ、テロで失われた罪なき人の命、残された人の悲しみと怒り。。そこを描ける小説家の力も偉大だと思う。

ピカソへのドラの愛はマハさんが乗り移ったかのような、ものすごくリアルで情熱的で芸術そのものでした。

 

 

『BILLIY BAT 1〜20』浦沢 直樹

 

BILLY BAT コミック 1-20巻セット (モーニング KC)
 

おすすめ ★★★★☆

 

下山事件から始まり、伊賀の乱、ケネディ暗殺、フランシスコ・ザビエル東京オリンピックアインシュタインヒトラー関東大震災、9・11同時多発テロとあらゆる歴史もビリーバットに操られている人類?世界で戦争が起き、、人類滅亡の危機を救うのは、、コウモリが人類に決断を下す。。相変わらず、途中までの盛り上がりが面白い浦沢作品。。ペンは世界を救う?お話だったのかなぁ。。

『プリンセス・トヨトミ』 万城目 学

 

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

 

 おすすめ ★★★★☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

このことは誰も知らない―四百年の長きにわたる歴史の封印を解いたのは、東京から来た会計検査院の調査官三人と大阪下町育ちの少年少女だった。秘密の扉が開くとき、大阪が全停止する!?万城目ワールド真骨頂、驚天動地のエンターテインメント、ついに始動。特別エッセイ「なんだ坂、こんな坂、ときどき大阪」も巻末収録。

 

舞台は大阪城が見える府庁と空堀商店街。そこに会計検査院(国の税金の使い途を調査するお役所)の調査が入る。社団法人OJOの調査を進めていくうちに大阪の秘密を知る事に。「大阪国」が代々守り続けている子供(豊臣家の末裔)。その運営費に使用されている5億円。。果たして無駄遣いなのか??
調査官が出した決断は??

国家試験をトップの成績で合格する頭脳明晰な副長「鬼の松平」(不正が見つかると鬼の如く徹底的に打ちのめす)と見た目がほぼ外国人?のスタイル抜群でハーバード大学卒業、優秀な経歴を持つ部下1・旭ゲーンズブールとカンが冴える見た目は中学生、中身は大人の部下2・「ミラクル鳥居」の調査官たち。。

対する大阪国の面々は代々から受け継ぐ使命を強く持ち、決して口には出さず、その時(子供の危機)が来るまで変哲もない日常を過ごす一般庶民。

調査官VS大阪国の壮大な攻防戦のきっかけとなる地元中学生たちも密かに大きな戦いを繰り広げていて。。ドタバタ劇?ではあるが、こういうあり得ないお話があり得るのではないかと思うほど、よくできたお話。。

都市伝説的ってこんな感じなのであろう。小さな商店街でひっそり暮らす人々には実は大きな使命があり、、だからこそ頑なに守られながらも、子守歌のように漏れる。。でも幻想的なお話だから真実味はない。。的なのが世に伝わっていくみたいな。。


歴史の苦手なわたしですが、特に戦国時代から江戸時代は覚えることがたくさんで大の苦手。倒幕してくれた事への安堵を感じていたものです。関係ないけど、そんな思い出が蘇った本でした。。。

 

 

 

『武士道ジェネレーション』 誉田 哲也

 

武士道ジェネレーション

武士道ジェネレーション

 

 おすすめ ★★★★☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

あれから六年、大学を卒業した早苗は結婚。香織は、道場で指導しながら変わらぬ日々を過ごすが、玄明先生が倒れ、桐谷道場に後継者問題が―。剣道女子を描く傑作エンタメ、六年ぶりの最新刊。

 

剣道女子の二人も大人になり、早苗の結婚生活、香織の桐谷道場の跡継ぎ問題、新たなる出会い♡など、またまた楽しめた。日本の歴史に触れる部分が時折あるのが、多少気になったけど、二人の関係がとても感じよい。早苗の主婦業もほほえましいし、現役剣道家たちを見て心寂しい気持ちもよくわかる。香織の武士道へのさらなる成長、身をもって伝える真摯な姿勢に惚れ惚れしてしまう。可愛らしいラストにもほんわか。。香織の〇〇生活、、読んでみたいなぁ。。

大人になった二人を読んで、やっぱりシックスティーンの葛藤、試練、挑戦、成長をまた読みたくなる。。と思える爽やかな剣道女子の物語でした。

『人生エロエロ』 みうら じゅん

 

人生エロエロ (文春文庫)

人生エロエロ (文春文庫)

 

 

この本は読書友から読書友へと巡りめぐる旅をして、、わが元に。。。

とことん、、徹底的にエロを考える。。すごいなぁ。。
阿川さんとの対談でみうらさんが「自分なくしの旅、、自分を探すのはしんどい。。なくせば楽」(自分探しって、、意識的にしてる人はいるのかなぁ。。なくすかぁ。。これもこれで難しいような。。なんて事を考えてみた。。)

過激な内容なのになぜか眠ってしまうんです。男の人ってあんな感じなんだと苦笑いの連発でした。。

『小暮写眞館』 宮部 みゆき

 

小暮写眞館(上) (講談社文庫)

小暮写眞館(上) (講談社文庫)

 

 

 

小暮写眞館(下) (講談社文庫)

小暮写眞館(下) (講談社文庫)

 

 おすすめ ★★★★★

 

内容紹介

あなたの写真(ひみつ)、解き明かします。築三十三年、木造二階建て。小暮写眞館は、臨死状態の商店街にひっそりと佇んでいた。都立三雲高校に通う花菱英一は、両親の趣味により、この「写真館」に住むことになる。そして、弟をふくめた家族四人での暮らしが始まった矢先、ひとりの女子高生が持ち込んだ不思議な写真を巡る謎に、英一は関わることになり……。写真に秘められた物語を解き明かす、心温まる現代ミステリー。

 

【感想】

小暮写眞館という古い写真館のある古家。。お店を残したまま住む花菱家。。(小暮さんの幽霊が出ると言われるオマケ付き物件?)

花菱家の長男・英一(通称花ちゃん)に舞い込んでくる不思議な写真たち。。心霊写真?念写?トリック?その写真の謎を花ちゃんが調査する。。ほのぼのするお話。
親友の秀才・店子くん(通称テンコ)、色黒の軽音女子・寺内さん(通称コゲパン)、鉄道マニアくんたち、花菱家に古家を紹介した不動産社長や事務員・垣本さん。。店番してる?小暮さん。。ハートフルな人から、ハートに重りを抱えてる人など、、魅力的な登場人物たちと花菱家への優しい関わり方がとても心温まる。

ほのぼのした展開が続く中、、花菱家の幼い頃に亡くなった風子の話になっていく。。
風子の話がタブー化されていた花菱家のそれぞれの抱える重さ、悲しみ、優しさ、あらゆる感情が後半溢れていく。 遺された家族、、特に末っ子のピカちゃん。。彼の気持ちが痛感。。心の奥底に無意識に追いやってしまった風子との思い出。。心にはっきりと色濃く残された時間。。大切な人との短くても濃厚な瞬間。。
走り出しても、、ずっと覚えていたい事ってあるよね。。と思いました

『そして生活はつづく』 星野 源

 

そして生活はつづく (文春文庫)

そして生活はつづく (文春文庫)

 

 おすすめ ★★★★☆

 

生活を面白がる。。ダメな自分を面白がる。。視力の弱さを最大限面白がる。。笑。
この人のダメさ加減が音楽、役者、作家などなどの才能に繋がっていること、、納得できる1冊。。

亡くなったおじいちゃんに対する想いにちと涙してしまった。。素直な感情に打たれる。。
空気を読めずに場の雰囲気とは違う言葉が浮かんでしまうエピソードなど、、他人事には思えない。。日常を真面目に面白がる。。駆け抜けて行く日々だけど、、一呼吸して、面白がると、人生豊かになりますね。

日常の事を考える余裕がない今、、立ち止まり振り返ると、、そこにも意味があるような。。そういう生活の視点をする事で、自分を見つめ、ダメさも認め?抜け感ある丁度良い人生を送れるような気がします。。
そんな事を気付かせてくれるエッセイでした。。

心に留めた言葉↓

「自信がないから持続する」「真面目は絶対大事。。真面目に不真面目さを作る」(星野源さんではなく、きたろうさんの言葉だった笑。。)